あらゆる意味でifがテーマといえる

ターミネーターシリーズもいよいよ五作目となる作品が昨年2015年に公開され、前作では主役ではなかったシュワちゃんが正式に今シリーズに復帰した作品が、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』だ。今作もまた正式な意味で前作4に連なる作品となり、舞台はスカイネットたちとの戦いから30年という時間が経過した世界を中心となっていく。揺るがなかった自分たちの勝利をもぎ取っていった人類、その先陣に立って人々に不屈の闘志を与え続けたカリスマである、ジョン・コナー。彼の存在を危惧したスカイネットが過去へと遡り、存在そのものを抹消すればいいという決断を下して、刺客を送り込む決定を下した。それを予見していた人類側は、前作で助けてから自身の右腕として逞しく成長したカイル・リースが、過去へ飛んでサラ・コナーという女性の保護と守護を自ら志願したことで対策をうつ。

これでようやく1984年に公開されたターミネーターに繋がっていく、と言いたいところですがそう安々と既定路線へは切り替わりません。カイルは無事過去へタイムトラベルに成功しますが、その瞬間にジョンがスカイネット達からの襲撃を受ける瞬間を目撃し、さらには転移中に幼少期の自分が語りかけてくるという不思議な体験をした。何が起こったのか理解できず、やってきた1984年の世界に舞い降りたカイルだったが、そこで遭遇したサラという少女は聞かされていた雰囲気とはまるで別人だったのです。

今作はターミネーターシリーズでありながら、新たな物語を紡ぐ三部作の第一章として展開していく。そのため、この物語では本来展開するはずのストーリーではない、全く新しい可能性を示唆する展開を見せていきます。

物語概要

今作を語るには、まず簡単にあらすじから最初に見ていこう。

あらすじ

スカイネットと人類の戦いは人類側の勝利に終わった。ジョン・コナーという存在を改めて脅威と判断したスカイネットは本格的に彼の存在を抹消するために刺客を未来へと送り込む。それを阻止するため、ジョンの父となるカイル・リースが過去へ転移する。転移直前にジョンたちが襲撃を受ける中でジャンプするが、その際に幼少期の自分があるメッセージを残した。『ジェニシスがスカイネットだ、起動したら審判の日が始まる。 その前に倒せ』・『審判の日は2017年』との言伝を脳裏に刻んで、カイルは1984年の過去世界へ到着した。

そんな彼を待ち構えていたのは機械世界の刺客による襲撃だった、猛攻を耐えしのぐ中で彼を救ったのは他でもない、サラ・コナーその人だった。話に聞いていた風貌とはまるで異なり、気高く強い女戦士となっていたサラにカイルとは驚きを隠せない。そんな彼女の傍らには自分たちの敵であるターミネーターが側にいた。なんと彼はサラが幼少期の頃に送り込まれた抹殺者から守護して以来、彼女をいっぱしの戦士にするために保護を兼ねて教育をしていたという。

自分の知らない過去に戸惑うカイル、さらにサラはカイルがどういう存在で、彼の運命がどうなることすら全て理解していたのだ。そのため、彼女は自らが未来へ飛び立って元凶であるスカイネットを破壊しようと画策する。ここでカイルが審判の日が異なっていること、サラの知る1997年ではなく20年後の2017年への転移を提案した。転移することが出来ない守護者をおいて2人が未来へ飛ぶと、そこでサラの息子であるジョンと再会を果たす。

まだ見ぬ息子との出会いにサラは喜ぶが、カイルはジョンがどうしてここにいるのか理解に追われる。そこへ老いてはいるが、二人がしる守護者がジョンを攻撃すると、何事もなかったかのように立ち上がる。そこで知らされる、ジョン・コナーと呼ばれた救世主がスカイネットによって改造されてターミネーターにされ、全く新しい存在へと昇華させられた事を。

思わぬ敵の出現に驚きを隠せないまま、カイルにサラ、守護者の3人はスカイネットを破壊すべく動き出す。妨害し、自らが望む未来を手に入れるためにジョンは彼らの敵となって立ちふさがるのだった。これは未来を掛けた戦い、訪れるはずだった、だがもしかしたらありえたかもしれない、もう一つの未来の話。

サラの変貌さが凄い

今作で驚きを隠せないのが、やはりサラ・コナーが全くの別人になっていることだろう。シリーズの原点である無印のターミネーターでは、サラは何も知らない普通の少女だった。そこへ突如自分を狙うターミネーターの脅威から救ってくれたカイルと共に逃避行するも、その果てにカイルは死亡してしまう。それからサラは未来に向けて画策していくことになりますが、今作におけるサラは全てを知っているだけでなく、自ら武器を振るえるだけの戦士として自覚を持っていた。

それもそうだ、なぜなら彼女がまだ幼少期の頃にすでに襲撃を受けていたのである。両親を殺され、自分も寸分違わずに抹殺されそうになったところを、守護者であるシュワちゃんに救われてから共に行動するのだった。聞かされた未来の話、そして自分の子供が一体どんな運命をたどるのか、いつの日か出会う、愛する夫であり慈しむべき息子の父となるカイルの到着を物語が始まる以前から、待っていたという設定で物語は開幕していきます。

全く新しいifの話といって良いこの展開、見てみれば分かりますが度肝は抜かれ、続編が気になって仕方なくなります。

後の二作に期待

三部作ということでその一作、シュワちゃんが改めて守護者でありターミネーターとして復活を遂げた今作では無事物語ラストまで生き延びる。ここでもこれまでのシリーズとは違って、自己犠牲の果てに救われるサラとカイル、というものではないところも大きく違う点だ。

次回作からどんな展開になるのか、全く新しくて誰も知らないターミネーターを期待したい。